2009/12/29

新・プラットフォーム思考、京様式経営


平野 敦士 カール
朝日新聞出版
発売日:2009-12-18

クラウドコンピューティングとしてのサービスによって、全てがオンプレミスである必要がなくなったように。
身のまわりで ”モノを提供(所有)する形からサービスとして提供(享受)する形” への移行が感じられる今日、明らかにITの分野では目に見える形になってきている。大きなことを言えば、産業構造が変化しつつあると言っても言い過ぎではないと思う。

クルマもその例外ではなく、モノとしてのクルマは無料になる日がくるかもね、そんな時代に必要なのが「新プラットフォーム思考」、というところから本書はスタート。おサイフケータイでの成功事例体験を元に、戦略としてのプラットフォーム、そのプラットフォームを創造するための行動原則がまとめられている。

タイトルや表紙、帯コメントは(残念ながら)個人的趣味にあわないけれど、考え方には共感する部分が多数。以下、3点がチェックポイント。
■プラットフォーム創造フレームワークの考え方 P51-63
  1. 社会の変化、規制緩和という大きな流れをとらえて不満を探す
  2. ターゲットとなるグル−プを特定する
  3. プラットフォーム上のグループが活発に交流する仕組みを作る
  4. キラーコンテンツを用意する
  5. 価格戦略をたてる
  6. 価格以外の魅力をグループに提供する
  7. プラットフォーム上のルールを決めて管理する
■プラットフォーム戦略=複数の関係するグループを「場」あるいは「舞台」に載せることで、外部ネットワーク効果を生み出し、一企業という枠を超えて、新しい事業のエコシステム(生態系)を作りだす P31
■新・プラットフォーム思考リーダ像=他人の価値観や考え方を受容し、他社の社員や自社の上司、部下など、周囲の多くの人を巻き込んでいくことで、自分が持てる力の何十倍もの成果を上げ、プラットフォームを成功に導いていく  P73
非常に読みやすい文章であり、行動原則も具体的。ざっと目を通して拾い読みでもOK。

ネットワークの外部性について、もっと詳しく知りたいという場合は、若干古いけれど以下本がお薦め。MicrosoftとSunの争いからオープンである事の重要性と、それを地理的・戦略的に上手く取り入れている京都周辺企業をまとめている良書。

上記2つの本読むと、microsoft, google, twitter, mixi, facebook, amazonなどの企業やサイトを見る目と、世の中にあるサービスの捉え方が変わるかもしれません。




2009/12/23

google日本語入力

今までmacではことえり、winではMS-IMEを辞書鍛えながら利用してきたけど、google日本語入力がリリースされたので、ここ2週間ほど利用してみた。www.google.com/intl/ja/ime/

結果は「採用」。
理由は2点。
  1. 究極の辞書+インクリメンタルサーチ
  2. 無料
1点目のインクリメンタルサーチとは、携帯で「き」と入力すると「今日」や「昨日」、若しくは自分の入力履歴から「き」で始まるものを提示しれくれ、全部をキー入力する必要がないというアレです。

普通は自分の入力履歴のみだけど、google日本語入力の場合は、Googleクローラで取得された膨大なデータから構築された統計的言語モデルを活用して構成される。これが強力。例えば、「ただしい」と入力した時点で、「ただしイケメンに限る」という候補が出てくる具合(注:個人的にこの文章を入力した履歴はないです、念のため)。

利用の弊害として、PCで文章書き始めてから漢字が書けない症候群(=IMEが変換提示してくれないとダメ)と同じように、google様が提示してくれないと、文節が書けないという状態も危惧されるけど、止まらないと思います、この流れは。だって圧倒的に便利だもの。

お題となる単語の各文字を、各句の頭文字に据えて文を作る”あいうえお作文”も、近い将来googleにお世話になるようになるかもしれません。。。


2点目は、そのまま。
web上レビュー等でATOKには敵わないとかありますが、ことえりとMS-IMEで過ごしてきた者にとっては、利用スタイルに合っています。もっとも、文脈を意識した単語変換の弱さは、もうちょっとなんとかならないか、とも思っていますが。。。

日本語入力、Chrome OS、Google Public DNS、自社製スマートフォンNexus Oneと、新しいものラッシュなgoogle。目が離せません。


先を読む頭脳(新潮文庫)



羽生 善治,松原 仁,伊藤 毅志
新潮社
発売日:2009-03-28

科学的には「二人完全情報確定ゼロ和ゲーム」と定義される将棋。その世界で長年トップを走っている羽生善治の思考/頭脳に、人工知能的・認知科学的両面からアプローチする本。よって、羽生氏本人、人工知能研究の松原氏、認知科学研究の伊藤氏、3名の共著となっている。各章、本人のインタビュー記事と研究者の解説記事のセットで構成。

将棋をやらない自分にとって、羽生氏は新聞やニュースでその活躍を知る程度。しかし、ウェブ進化論 の中で紹介されたように、ネット社会の現状を「学習の高速道路とその先の渋滞」と表現した言葉には、同時代の共感と同時に、言語センスの高さに感銘を受けた。

事実、認知科学的に見た場合、羽生氏は「メタ認知」「自己説明能力」と言われる、自分の思考を客観的に捉える力とそれを説明する能力が極めて高いそうだ。本書内でもその能力は発揮されていて、将棋のルールを知らない読者でも理解できるよう、対戦中の思考回路や戦略の考え方などを一段階抽象化、もしくは言い換えて伝えてくれる。長年第一線で活躍している事実に裏付けられるそれらの言葉に学ぶことは多い。

プロになるためには、もちろん持って生まれた先天的なセンスや能力が大事だと思いますが、それ以上に必要なものがあると私は思っています。それは例えば、非常に難しくてどう指せばいいのか分からないような場面に直面したとき、何時間も考え続けることができる力。そして、その努力を何年もの間、続けていくことができる力です。 P30
事柄を「理解する」ということは、表現されているモノを自分が持っている知識に対応させて、その基準で考えていかないとなし得ない P72
いい形を作り上げることを目指すのは無論、重要なことですが、それと同時に、有効に動かすことができる駒をいかに数多く残しておくかということにも、かなりの神経をつかわなくてはならないのです P91
ひとつ確実に言えることは、将棋では若いということはそれ自体が強さなのです。それは若いときには善悪は別にして、指し手の選択に勢いがあるからです。年齢を重ねるに連れて失敗の経験も増えるので、どうしても躊躇する気持ちが生まれてきます。それによって折角こちらに来ているいい流れを、自ら止めてしまうことがあるのです。 P93
自分は選択の幅をたくさん残しながら、相手の手は限定されるように指していって、ゲームがススムに連れて、最終的に相手は戦略的に有効な手がないという場面を作りだすのが、理想的な指し方になるのです。 P94

本書を読みながら、自分自身の経験でふと思い出したのは、小学4年で親から教えてもらった五目並べで、"先読み"をしていた事。遊びの対戦でも、(奥の深さは将棋に遠く及ばないが)えらく先まで読んで1手を決めていた。かなり昔の事だけど、その思考プロセスは明確に覚えていて、1)今ある形から、2)自分が持っていきたい形を頭に描き、3)1手ずつ自分と相手をシミュレーションして、4)相手が気がつかなそうな手順で置いていく 事をやっていた。当時10才くらいだけど、多分人生で初めて意識的にやった「仮説検証」だったんだと思う。同年代には、ほぼ負けなしだったから、それなりに効果はあったのかな。

以降、五目並べ自体は遠ざかったけれど、普段の仕事やコミュニケーションでも、この時養った思考回路は活きているような気がする。


羽生氏の思考に感じられるという点だけでも良書だけれど、眠っていた個人的な記憶を意識させてくれたという意味で、更に◎。


2009/12/22

iPhoneで聞くTOKYO FM

3GまたはWi-Fi回線を通じて、TOKYO FMの放送がリアルタイムに聴けるアプリが実証実験として無料配布中。
http://www.tfm.co.jp/keitai/iphone.html

早速帰路でダウンロードして試した。
いやぁ、FM聴いたのなんて、いつぶりだろう。

高校生の頃は、FM STATIONを毎号買って、NACK5のスタジオ@大宮へ行ったり、J-WAVE聴きまくってたな。何せ、ネットもiTunesもMP3も、(学生だから)金もない時代なので、FMやタワレコが音楽情報収集の中心だった。

で、このアプリ。
画面デザイン(特にピンク色)は好みの分かれるところですが、基本機能はしっかりしていて、他FM局のお手本になるのでは? と可能性を感じさせる出来だと感じます。

・Now On Airでは番組と曲情報を表示
・自分が聴いていた時間帯に流れていた曲履歴を自動取得、Historyとして保存される
・さらに、Wi-Fi接続時は履歴からiTunesの曲購入画面へ直リンクがあるので便利

ある程度バッファされるので、ちょっとは3G電波切れても大丈夫との事で、自分の通勤経路では非常に快適に聴ける(但しバッファ状態がボリュームアイコンと兼ねているのはわかりにくい)。

利用は位置情報を元にTOKYO FM受信できる地域に限られる とか、
ネットラジオ or podcastでいいじゃん とか、
自分のプレイリスト聴いていた方がいい とか、
意見はいろいろあると思いますが、久しぶりにFMの雰囲気味わわせてくれたノスタルジックポイントで、高得点。 しばらく使ってみよう。

+α
雑誌名:FM STATIONが思い出せず、ググってたら面白そうな本発見。ちょっと、自分が年取った気分にもなった。



2009/12/20

どんな時代もサバイバルする人の「時間力」養成講座


誰にでもやる気の出る時間とやる気が出ない時間がある。やる気が出ない時間をなくそうとするのではなく、バイオリズムとして必然であるから、その時間を最短に、かつやる気の出る時間を如何に有効に使いアウトプットを出すか。

「時間力を高める」を切り口に、考え方・技・習慣を3部に分けて解説しており、非常にさらっと読める内容。速読対象本。そうだよね、と思える事ばかりだけれど、自分ができているか、と振り返ると、この類の本が売れ続ける理由がわかる。

読んでいて面白かったエピソード。

お坊さんと一般人に脳波計をつけて、双方に座禅を組んでもらう。静かな時には両方ともにアルファが出ている。そこに騒音を入れると、、、これまた両方に脳波の乱れが出る。むしろ、お坊さんの方が脳波の乱れが激しい。しかし、騒音が無くなった時の反応に違いが。一般人はなかなか乱れが収まらなかったのに対して、修行を修めたお坊さんは、すぐに平穏な状態に戻った。 P50

アウトプットも出せない新人が「残業はしない主義です」と帰る。
残業はしない働き方をすべき。
でもその大前提としていい仕事をすることが大事。
仕事もせずに残業しないなんていうのは最悪です。 P147


帯と目次をざっと眺めて、キーワード押さえておくと大体OKです。





2009/12/19

ビューティフルアーキテクチャ



優れたものは美しい。form follows function。
自然界に現れるフィボナッチ数列と黄金比。
エレガントな数式。

この法則はソフトウェアやITシステムにもあてはまる。
良い建築物の条件は「美しさ」「堅固さ」「快適さ」の3つであり、アーキテクチャとはこの3条件のバランスと調整であって、どれがどれを圧倒するようなことがあってもいけない。 P4
元々アーキテクチャという言葉は建築を指していたけれど、ITアーキテクトという肩書きが物語るように、IT分野でも普通に使われ"仕組み" "仕掛け" "構造"といった意味合いを合わせ持っている。ITシステムにおいて、考えられていないアーキテクチャは、元々目指していた効果を得られないだけでなく、日々の運用やシステム改修において、多大なコストが発生する。それだけに、システムコンセプトというべきアーキテクチャは、熟慮の末選択されるべきである。

本書はビューティフルコードに続く、ビューティフルシリーズ第二弾で、アーキテクチャについて。ただし、企業システム全体にわたるような俯瞰・全体的なものというより、要素要素のアーキテクチャ、特にソフトウェアアーキテクチャを取り上げたものが多い。章構成は通読不要で、興味のあるところから章単位で読める形式。
目次に目を通した直後に読んだのは以下章。

第1章 アーキテクチャとは何か?
第2章 2つのシステム:今風ソフトウェア物語
第5章 リソース思考アーキテクチャ:「web上にある」こと
第14章 古典再読

1・2章は、本書におけるアーキテクチャの基本的捉え方が紹介される。必読。
5章では、非常に今日的な内容を扱っている。
RESTとSOAPの違いと、リソース指向アーキテクチャの考え方を解説。著者の主張は、SOAPやWSDLは「絶対NG」ではなく、「SOAPをdoc/litで使うのが有望」というスタンス。しかし、SOAPサービスではアプリケーションが求めるデータセットとは異なる、サービス提供側が設計したWSDLによってレスポンスの形式が固定され(本書内では"契約"と表現)てしまい、データの有効活用がしにくい。また特定のバインディングに縛られてしまう事で、クライアント稼働中のサービス側変更が困難になる事が問題だと主張する。
webサービススタックの主要な目的の1つは、結合度を低くし、非同期的な処理モデルを導入する事で、メッセージハンドラを新し いビジネスロジックに対応して更新でき、それでいてクライアントには影響が及ばないようにすることでした。WSDLによる束縛方式は、この目的がわかって いながら、まったく正反対の事をしたのです。 P98
SOAPは動作を起動するための優れた技術ですが、情報を管理する手段としては失敗です。RESTはまさに情報を管理しようとするためのものですが、URLを通じて任意の動作を起動するものでは必ずしもありません。 P101
確かに、メソッド情報がエンベロープ内で記述され、サービス毎にラベルが異なってしまう状況下で、1)複数のSOAP/WSDL webサービスから情報を取得し、2)取得したアプリケーション内で独自のデータセットとして処理する、というケースでは指摘の通り、ごもっともと思う。

ただし、そのエンベロープやラベル自体を、サービス依存ではなく1段抽象化した上で共通的に規定したらどうか。webサービスの差異を埋めるようなもの。こうする事で、少なくともwebサービスのリクエスタ側のリクエストする部分は改修不要となるのでは、と考えたり、、、第5章は、思考が活性化されるテクスト。

3章以降12章までの章頭に挙げられる「原理ないし特性」と「構造」の分類も、考え方の切り口として有用。

■原理ないし特性
多目的性
概念の整合性
独立に変更可能
自動伝播
構築可能性
成長対応
耐エントロピー性

■構造
モジュール
依存性
プロセス
データアクセス

そして、最後14章は個人的な趣味とマッチする章。デザインパターン(GoF本)から始まり、 D.A.ノーマンのアフォーダンスを援用しながら「プログラム言語もそうであるべき」であると言い、暫くオブジェクト話が続いた後、突然フランク・ロイド・ライトの落水荘や、コルビジェのサヴォア邸、ミース・ファン・デル・ローエに話が飛び、最後は「建築がカオスの冒険であるというのは、それが美しいアーキテクチャだけでは不十分だからです。美しさだけでなく、有用性もが支配するという点で、建築とプログラミングは同類です。 P389」という一文で締められる。かっこいい文章です。

全章読んでいないけれど、 ここで紹介した1、2、5、14章だけでも買う価値あります。




2009/12/17

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性

個人的合理性と集団的合理性の差異による囚人のジレンマ。
その他、コンドルセのパラドックス、ハイゼンベルグの不確定性原理、EPRパラドックス、ゲーデルの不完全性定理・・・などなど、タイトルにもなっている「理性の限界」をキーワードに、選択・知識・科学の3つの限界が論じられる良書。

架空のシンポジウム、パネルディスカッション形式で記述された平易な文書は、哲学や論理学に馴染みのない読者に優しい。しかし、巷にあふれる”はじめての”とか”1分でわかる”といった類の軟弱な入門書ではなく、しっかりとした議論の骨子が形取られている。また、登場人物の立場設定が、それぞれの議論内で明確に主張が異なるように構成されている点も、理解を深める工夫として秀逸。

個人的に、1章と2章が面白かったので、詳しく記述しておく(第3章も論理学として面白いですが)。

1章は選択の限界。
コンドルセのパラドックス、ボルダのパラドックス、アロウの不可能性定理、パロウスの全員当選モデルを通して、如何なる民主的な投票方式においても、必ず戦略的操作が可能であること、即ち完全に公平な投票方式は存在しない。従って、完全な民主主義は不可能であることが明らかにされる。ここは知っておいて損はない。

次は、1984年に実施された囚人のジレンマプログラムコンテスト。著者も書いているが、このコンテスト結果が非常に興味深い。
ルールは、2台のコンピュータ(プログラム)が「協調カード」か「裏切カード」を同時に出し、
  • 2台とも裏切であれば双方に1点
  • 2台とも協調であれば双方に3点
  • 一方が裏切、一方が協調ならば裏切者に5点、協調者には0点
という決まりでポイントを獲得。1試合200回、5試合平均ポイントで勝敗を決定するというもの。優勝は、FORTRANでコーディングされた、たった3行のプログラムだったそうだ。
  1. 協調を出す
  2. 次回は前回の相手と同じカードを出す
  3. 以降、これを繰り返す
これは、Tit For Tat:「しっぺ返し」戦略と呼ばれ、ゲーム理論では有名だそうだ。


第2章は科学の限界。
科学とは何かといった議論を出発点に、天動説・地動説、ハイゼンベルグの不確定性原理、実在的解釈と相補的解釈、EPRパラドックスを通って、パラダイム論に至る。第2章は量子論入門読み物として優れていると考えます。

しかし、それらをうまくまとめられる自信がないので、ここは引用中心で気になった所を。
非ゼロサムゲームの理論を公理化し、各プレーヤーの利得を最大化する均衡解が一意的に存在することを証明 = ナッシュ均衡 P94

不確定性原理 = 様々な状態が「共存」して、どの状態を観測することになるのかは決定されていないこと P141

コペンハーゲン解釈(相補的解釈・相補性) = 相反する二つの概念が互いに補い合うことによって、一つの新たな概念を形成するという考え方 (デンマークの物理学者 ニールス・ボーア) P141-2

EPRパラドックス〜二重スリット実験〜シュレディンガーの猫、多世界解釈 P142-153

パラダイム = 一定期間、科学者集団に対して、問題と回答のモデルを与える一般的に認知された科学的業績。パラダイムの「危機」は根本的に新たなパラダイムの出現によってしか乗り越えられない。 P168-9

決して生産性を求める議論用のネタではないが、知的好奇心を満たすには十分すぎる740円です。




2009/12/14

コミュニケーションの情報量

ある講演会にて。
文字(KB) < 音(MB) < 映像(GB) メール < 電話 < 対面 の順番で得られる情報量が多くなる。

妙に納得。と同時にTB,PBの単位ではどのようなコミュニケーションが可能になるのだろうかとの疑問も。感覚の共有? テレパシー?
将来それがもし可能になったとして、60fpsのなめらかな映像を見ると少々目眩がするような今の脳に、TB/PB級情報は処理不可能ではないか? NHK のアナウンサーが喋る言葉/分 が早くなって、それが理解できるように視聴者の脳がついていっているとしても、TB/PB級への飛躍は、脳の側も飛躍的な能力の解放なしには、無理そうだな。


格差

中国人に言われた事がある。
「そもそもマクロ的に見ると、日本程格差の小さな資本主義国は珍しい」と。
最もGDPの小さな県と高い県で、その差は2倍程度。中国では10倍以上。
彼は続ける。
「果たしてどっちが社会主義か?」
---GOETHE June 2007 P251 対極を愉しむ 出井伸之
県という行政管理単位の格差=ある意味平均値だけれども、最後の問いは興味深い。


新技術は前時代を引きずる

FlickrファウンダーのCaterina Fakeのスピーチ解説文
新しい技術は、その第一ステージでは前時代の遺産を引きずる。たとえばフィルムは(映画を作るのではなく)舞台を記録するために使われ、車は「馬なし馬車」と呼ばれた。同様に、当時のフォトシェアリングサイトは「オンラインアルバム」で、クローズで知り合いの間だけでシェアされるものだった。
引用元:http://www.chikawatanabe.com/blog/2007/05/flickrcaterina_.html



プロフェッショナルの流儀−吉岡徳人

残るデザイン、未来の定番を作る
カタチをデザインする→気持ちをデザインする
平面と立体の交差 (APOCとの共通点)
ジタバタする
自分で限界を決めない



プロフェッショナル仕事の流儀ー長崎尚志

漫画編集者という仕事。
浦沢直樹ブレーン(MONSTER、20世紀少年、PLUTOの編集者)。

追いつめられたとき、粘れるか。

過去の栄光にすがらない事。すがらないから未来がある。


BS-Hi ハイビジョン特集「四季・セントラルパーク 〜ニューヨーク 市民が守る都市公園〜」

2007/05/03の移行記事
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年間25億円あまりの維持費が、一般市民や企業からの寄付で賄われているニューヨークセントラルパーク。

都市部における住宅の狭小さ、賃料の高さ、高層化による緑の不足は、東京と変わりないが、果たして新宿中央公園が同じだけ市民に愛されているか。何より驚くのが、アメリカ社会におけるボランティアの浸透。毎日100人を越えるボランティアがセントラルパークのメンテナンスに関わっているとのこと。

「僕たちの、私たちのセントラルパーク」という想いのお陰なのか、幼少からの生活の一部として(社会生活の一部として)、ボランティアが根付いているかは定かではないけれど、一度NYを訪れてみたい、と考えさせられる番組であった。



2009/12/13

7. Tchaikovsky: Symphony no. 4 / Jos van Immerseel & Anima eterna


必見。
ジョス・ファン・インマゼール(Jos Van Immerseel)によるチャイコフスキー交響曲4番、第3楽章 Scherzo: Pizzicato ostinato。音の旋律、移相、バランス、特にピッツィカートが秀逸。


2009/12/07

旅学 No.5


二十歳前後で読んだ、沢木耕太郎の深夜特急。影響されてバックパックでモロッコ〜スペイン〜ポルトガルを陸路・海路で旅した。マラケシュの雑然としたマーケットや、サハラの赤い砂と夕日と星空の同居、アンダルシア地方の白い街、ユーラシア大陸最西端のロカ岬からの眺め、FCポルトのホーム戦・・・想い出すだけで、懐かしい。

最近では、プラハとウィーンに行ったけれど、別ジャンルの楽しさ。

旅学 No.5を読みながら、全く予定を立てない旅を、改めて実行したい気持ちになった。本号の特集はペルー。ペルーと言えば、マチュピチュに代表されるインカ帝国があった土地であり、ナスカの地上絵で有名なナスカ市がある国。日本からはなかなか不便な立地、それだけに魅力を感じる。

特集の中では「ペルー3500kmのワンダートリップ」と題して、リマ〜マチュピチュ〜チチカカ湖へ至る旅路のテクストが写真とともに綴られる。この雑誌が一貫して伝える+No.5から新たに表紙についた「旅に出ようよ!」のステッカーが伝える通り、本当に旅立ちたくなる本デス。




2009/12/06

知識の構造化・講演

小宮山 宏
オープンナレッジ
発売日:2007-12-13

"圧倒的な知識・情報の増加により専門領域が細分化"した結果、全体像が見えなくなってしまった。故に構造化による俯瞰像の獲得と今ある部分像の両方が必要である、と考える著者の講演抜き書き形式による本。

世界・日本における過去から分化された現代に至るまでのプロセスを導入に、現在の問題提起、そもそも構造って何? に対する説明、思想としての構造主義に対する解説、今後の日本が進むべき道の提言を述べている。

フランス革命の土壌となったとされる"エンサイクロペディア"の日本語訳=百学連環は、明治時代の哲学者 西周によるものであった事や、「1970年代に作られた平凡社の百科事典は編集委員が520人、執筆者が7000人(P158)」という興味深い事実を通し、「wikipediaに代表されるようなweb上のサービスは便利だが、知識が構造化されていない(同)」点に不満を感じている、というのが著者の実感である。

私自身の経験としても、組織成熟化による部分最適への邁進と、学問の細分化による他領域への無関心は相似形だと考えるし、便利・楽ではあるが近視眼的になっている現状に危機感を抱く。モノゴトが整理されているようで、実はエントロピーが増大しているのではないか。

本の中では、最終的に「日本は多様な問題が身近にあり、かつ実はそれらを解決する技術や行動をしているから、ビジョンを持って今後もイノベーションしていき、フロントランナーになろう」というメッセージで締めくくられる。

著者なりの、一応の結論は記述されているが、それが唯一の方策ではない、本書から触発された読者それぞれが考えるべきものである、というのが読了後の感想。

くれぐれも、企業活動が以下のようになっては or してはいけない、と強く感じた。

分子が勝手に動いて衝突しあい、全体の運動量がゼロに等しくなるブラウン管運動と同じ p192

以下、気になった文言。
領域を区切ってその中に基本原則を発見するのが科学の基本的なやり方 (P76)

俯瞰像と部分像を利用する事によって、今どの階層構造で議論しあっているのか、自分は今、どの階層構造まで解明しようとしているのかを把握する事ができる(P82)。

専門性はないけれど、総合的な医学知識を持ち、診断できるお医者さんが大勢いました。しかし今はどんどん文化していって、特定の医療科目には深い知見を持っていても、総合的な診断を出来る医者がいなくなりました。(P87)

以前は知識源が限られていたという理由で「know how」が重要でしたが、最近は、どのような知識がどこにあるのかという「know where」も大切な知識です。(P106)

非常に大雑把に言えば、構造主義とは、(中略)構成要素に分解し、要素間の関係を整理統合することによって対照を理解するというアプローチ方法です。(P118)

金子邦彦教授がかかれている「還元論の限界」は、非常に興味深いものがあります。つながる限界までやってみれば、何が繋がらないのかという新たな問題設定が可能になり、知識の構造化と効率的な理解、その利用可能性が広がるでしょう。(P207)






2009/12/04

プロジェクトファシリテーション

白川 克,関 尚弘
日本経済新聞出版社
発売日:2009-08-20

創業125年を超える企業における、人事BPRプロジェクトの実話。プロジェクトを時系列で追いながら、クライアント企業内メンバとコンサルタントがそれぞれの立場で考えた事、感じた事を書いている。しかも実名で。それだけにリアルさが伝わってきて一気に読めます。

成熟化した組織にはありがちな、”ガンジガラメ”で"変えられないルール"に悩ませられながらもBPRを実現していく過程は、イバラの道。しかもコンサルタントが参画している。このシチュエーションでありがちなパターンとしては、
  1. コンサルが(見栄えだけ良い立派な)計画立案を行い、
  2. アクションプランが納品され、
  3. 実行はクライアント内プロジェクトメンバのみで開始。
  4. 当初、メンバは改革に燃えて行動するも、
  5. 社内の壁に跳ね返され続けてモチベーション低下し、
  6. 結局何も変革されないままプロジェクトが解散する
という失敗事例。

しかし、この本に記述されているプロジェクトは違う。

コンサルタントはファシリテート役としてプロジェクト実行に深く関与し、クライアント側もその導きに始めは戸惑いを感じつつも、効果があがる事によって実行している事にコミットしていく。まさにサブタイトルにある通り「クライアントとコンサルタントの幸福な物語」が構築されていく。

プロジェクトマネジメント系のビジネス書では、PMBOK解説や方法論を中心にするものが多い中、実際のプロジェクトに沿ったイベントの中で利用される手法やツールが紹介されるため、具体的かつ現実的。

いくつか実際のプロジェクトでも利用してみたいものがあるが、ファンクショナリティマトリックス(FM)は、簡単だけど効果的なツールで、以下4つ(1〜4)のステップで、3つ(A〜C)の役割を果たす。

FMのステップ
1.機能要件の洗い出し
2.重要度の判定基準決め
3.各機能の点数付け
4.構築優先順位付け

FMの役割
A. 必要な情報システムの全体像を示す
B. プロジェクトとしての優先順位を見える化する
C. 多くの関係者の共通認識づくり(高い納得感の醸成)

問題解決と意思決定の思考プロセスを体系化した手法では、ケプナー・トリゴー法(KT法)が代表的だが、それを簡単にしたようなもの。Enterprise Platformにある程度詳しい説明がありますが、「FMはステークホルダー間の納得感を高めるためのコミュニケーションツール」という一文に共感。

結局、人がプロジェクトを遂行する以上、PMBOKでも言われている通りコミュニケーションが一番大切。ファシリテーションも円滑なコミュニケーションをデザインする一手法だと考えます。

そして、今の自分が言わなくてはいけない言葉。
やりたいのはBPR、ハブ&スポークの状態にする事。システムはその基盤にすぎない P143
身にしみます。

以降、気になった文面引用

■BPRの定義
業務の環境や条件が変わったら、現時点で最適な仕事のやり方をゼロから考え直そう。そうしたら、コストやパフォーマンスが劇的に改善するかもしれない。 P53

■プレップ(Preparation)の4P
目的地(Purpose)
-なぜその山に登るのか
-どこまで登るのか

参加者(People)
-誰が登る?
-誰の助けが必要?

どのように登る? (Process)
-登山道
-ペース配分
-登り方
-登る前の準備

服装、道具(Property)
-適切な服装は?
-必要な道具は?

P149
非常に有意義な本であった。


2009/11/24

脳と創造性 


2005/07のレビュー再掲。
2009年時点で、最近はメディアに露出しすぎて賛否両論ある氏ですが、面白い本です。

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茂木健一郎氏の「脳と創造性」を読みました。脳科学者にして、Sony CSL Senior Researcher。クオリア(感覚を特徴づける質感)の研究をしており、それがSONYの高級製品群(250万のプロジェクタや40万のデジカメ etc...)のブランド名"QUALIA”になったり、Yomiuri Weeklyに記事書いたりしていたり。養老孟司つながりでメディアの露出が多くなっている気もします。

本題。「脳と創造性」の話。全体としては、コンピュータの非創造性を引き合いに出しながら、読者に創造性は一握りの天才だけのものではないという認識をさせ、創造性の脱神話化→情報社会における創造性の模索→生命の躍動(エラン・ヴィタール)への還元が為されていきます。文体は平坦、至極読みやすく、頷ける箇所多数です。

付箋マニアの私としては、久しぶりに付箋だらけになる本でした。

今日はその中から一つ。
【西田幾太郎にとって、あの東山を下る道が「哲学の道」だったのは、その景観に哲学を考えさせる特別な性質があったからではない。そこが毎日のように歩いていて、見慣れた道であったという事が最も重要な要素である。(P213)】
哲学の道、有名ですね。

確かに、見慣れた道を歩いている時が考え事に適しているというのは分かる気がしますね。じーっと机に座って唸っている時よりも、駅から家に向かって歩いている時の方が、仕事における課題解決の糸口が見つかったりしますし。

ただ、自分の場合、道と同じ位大きな要素として、音があります。一人で移動する時は、常にiPODが共におりますが、公共空間の中における ”自分が意図しないオト”を遮断し、予定調和の”音的個人空間”を提供してくれます。Underworldのborn slippyがその最たる曲だったりするのですが、曲を知らない人からしたら、爆音以外の何のもでもないですもんね。これは西田幾太郎が生きた時代では不可能で、現代に生きている特権。

「ウォークマンの発明によって公共空間における公的/私的の境界が曖昧になった」といった論調のメディア論があって(確かに一理ある)、マイナス効果ばかりが取り上げられたりしますが、個人的には上記を例として、プラスの効果も確実にあると思ってます、はい。

*浪費癖者のつぶやき
 完璧な個人空間を創りだすには、遮音性に優れたヘッドフォンが必要な訳で、B&OのA8が断線してしまった今、狙うは高域と低域独立駆動/2ウェイ方式のShure E5cだったりするのですが、みくり貧乏な私にとっては、どうするのがいい事やら。あ、でもこんなイイもの買ったら、今まで聞こえていなかった音楽のディテールが聞こえすぎて、音自体に感動して考え事には向かないかなぁ。。。いろんなレビュー見るとどこも絶賛だし。。。ぶつぶつぶつ。。。
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企業の芸術活動支援

2005/07のエントリー再掲。この話題も2009/08にアナウンスされたサントリーミュージアム休館(事実上の閉館)を見ると、考えさせられます。安藤忠雄建築もどうなるのか心配。間違っても取り壊しになりませんように。

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雑誌の記事で、Gregory Colbertという写真家を知りました(Pen,8/1号,P130)。
http://www.ashesandsnow.org/
(↑Exhibitionのサイト。2007年に日本にも上陸予定)
実物は見てないけど、写し出される緊張感や空気感が秀逸。個人的に好きな世界です。

で、記事には本人の言葉も掲載されているのですが、その中で「展示にも企業のロゴをださず、僕は宣伝の時計すらしていない」との言葉が。実は、Rolexがこの作家をサポートしているらしいのです。う〜ん、Rolex社の懐の深さですな。

一時期、企業メセナとして、各日本企業こぞって文化施設を創ったりしてましたが、最近大きな話題はめっきり聞かなくなりましたね。

身近な話題では、寂しい話題が。
ICC存続の危機
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=1509804
開館時のイベントには足繁く通って、生”浅田彰”とか観てワーワー言ってたのも、もう8年も前の事。いや、まだたった8年か。

企業側としても表向きは「文化的〜」とはいいつつも、資本投下を伴う活動なので、イメージアップ等の効果を狙ってると思うのですが、広告とは違って継続的な投資が必要となるだけに、慎重に判断してもらいたいものです。

・・・と、一通り書いてから雑誌に目を戻すと、左隅に「提供:日本ロレックス」との記載が。本文で本人が「陰で支えてくれるRolex社」と言っているだけに、これにはちょっと、う〜ん、という感じ。

企業の芸術活動支援って、むずかしいですね。
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ふたつの世界

2005/09のエントリーを再掲。
4年前の自分よりは、芸術分野もカバー出来ていて、両立できているかと思う今日この頃。

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ふたつの世界を持ってるって素晴らしい。ふとテレビをつけていたらそんな事をやっていた。納得。仕事一辺倒になっている最近、特に痛感。

大賀典雄(Sony Founder):経営者+指揮者
森鴎外:作家+医者
手塚治虫:漫画家+医学博士

ちょっと見渡しただけでも「へぇ」という二つの世界を持ってる(or た)人は結構いる。趣味以上・プロ未満を含めたら、星の数程ありそう。

自らを考えると、【Art(学生時代) + 情報技術(現在)】になるのかな。ただ、時系列でみると二つの世界を持ってる事になるけど、現時点においては前者はまるっきり。冒頭にも書きましたが今は仕事一辺倒で後者のみ。

バランスを取りたいと願うも、「極める為には一定期間のめり込まないと」と言い聞かせつつ明日(月曜日)を迎えます。

で、ダヴィンチ。
彼こそ、究極な二つの世界を持っていた人。芸術家と技術者。まさにart & technology、一人コラボ状態。そんな彼の手稿(本物!!)が今、日本で見れます。

ダヴィンチ展@六ヒル 森アーツセンターギャラリー
http://www.leonardodavinci.jp/index.html(2009/11時点でリンク切れ)

仕事上、普段Windowsに悩まされ続けておりますが、今ばかりはBill Gatesに感謝。素直にありがとうです。

来週から来年年始にかけて、休日が仕事でつぶされる週が多くなる予定ですが、こればっかりは行ってこようと思います。恐れ多い”目標”をこの目で確かめに。
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2009/11/23

Google OS

2006年01月に別ブログで書いた記事。
たまたま記事の移行で読み返したのですが、2009/11/19にChrome OSが正式アナウンスされた事を思うとタイムリーな話題ですね。

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’06.1.23号のAERAにGoogle特集があって、内容はふむふむ、という感じだったけれどP40の写真に釘付け!! 社内の様子であろうホワイ トボードが写っている。左隅には”Google's Master Plan”の文字が。そして右上の方には”Google OS”の文字が。

写真のキャプションには何の記述もなく、一瞬、なんかすごい事発見したようでドキドキしてましたが、Google's Master Planと検索してみたら、既にありました。
http://www.flickr.com/photos/jurvetson/21470089/
しかも、コメントのポストを見るとPosted 7 months ago。7ヶ月遅れでわくわくしていたようです。

AERA掲載の写真はflickrの写真より詳細が書き込まれている模様だけど、既に骨子は出来上がっている感じ。flickrでOriginal sizeで観てみると、かなり想像が膨らむ。

1)Dark Fiber -> VOIP -> Cell Phone
確かに、Googleは米国でダークファイバ買いまくっているという話だし、Google IP携帯も考えられる。

2)Redesign TCP/IP + Next Generation Web -> Internet 3 -> ISP
これはすごい。TCP/IPをリデザイン+次世代webをもってインターネット3を実現! 最近やっとWeb2.0が取り上げられてきたというのに、もう3です。

3)Hire rogue scientists -> weather control
いたずらっこ科学者雇って天気までコントロールしちゃうんですか!?

恐らく発散的思考を重ねて纏め上げられた図だと思うので、確実にGoogleが実行するかどうかは微妙。世の中で起こりえる事を想定しているのかも。

で本題のGoogle OS。この流れを見る限り、MacOSやWindowsのようにクライアントにインストールするものではなく、(1)ネットワーク越しに提供される SOA(Service Oriented Architecture)なOSで、(2)どこからでもアクセス可能なストレージと、(3)インデクス化された膨大な情報に対して公開されたAPIを利用してアクセス可能な、(4)オープンなインフラ、と想像イタシマス。

Googleが$100PCを大量に配布するという話もあるので、クライアントOSはCPUパワーが必要ない軽いもの(極論TCP/IPとVPN だけ実装していればOK)→実際の演算はネットワークの向こう側にあるリソースを使う=Google OS、というのも成り立つのでは。

Sun microsystemsが掲げる”The Network Is The Computer”を実現するのはGoogleかもしれません。
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こんなふうには








ならないようにしないと。


LIBRARIES : Candida Hofer

Umberto Eco
Thames & Hudson Ltd
発売日:2005-10

カンディダ・ヘーファーによる世界各地の図書館写真集。
欧州の図書館はどこでもこうなのか? と思ってしまうような「知識の象徴としての建築」的空間が表現されている、見事な写真集。

1944年ドイツ生まれのカンディダ・ヘーファーは、デュッセルドルフ美術アカデミーで「写真界におけるタイポロジー活用の先駆者」として活動していたベッヒャー夫妻に師事。図書館の他にも、美術館・学校・劇場など文化施設を中心に、圧倒的空気感で表現しているアーティストでして、好きな写真家の一人。写真におけるタイポロジー(類型学)の定義は以下。
特定の分類項目を設定することによって、撮影された複数の個別的要素(メンバ)から一定のテーマとなる集合(クラス)を作り上げ、メンバ間の多様な形態上の比較対照によって浮上するクラスの同一性によって、文化論的な探求を行うこと
引用:カラー版 世界写真史 P129
上記定義に拠ってこの写真集を評価するならば、「グーテンベルグ登場より過去から連綿と続く知識象徴要素(メンバ)を、厳密に設計・設定された写真技巧での集合(クラス)化によって、場としての図書館の文脈をあぶり出す事に成功している写真集」と言える。

実際、この本を見てから訪れたプラハのストラホフ修道院図書館と国立図書館、ウィーンの国立図書館では、写真からも伝わってくる叡知・歴史・権威/権力・崇高さがそこにはありました。

プラハ ストラホフ修道院図書館(神学の間)
PRG_VIE097

ウィーン 国立図書館
PRG_VIE361

プラハ ストラホフ修道院図書館(2010年秋まで工事中の哲学の間の様子)
PRG_VIE095

日本にもこんな図書館が出来ると嬉しいですが、幸か不幸か「万人のための図書館」を指向しているため、ハコモノだけの真似では同じ空気を纏うまでにはならないでしょうね。大阪中之島図書館は好きですが、純日本建築様式の図書館があったりすると惹かれます。


なお、冒頭のリンクで飛んだ先は売切れになっていますが、私はこっち(Candida Hofer : Libraries)で2008/12に購入。amazonでの表紙画像は"本棚アップ版"になっていますが、届いたものは冒頭リンクの表紙画像"螺旋階段付き全景"でした。今時点で購入された場合も保証するものではないですが、ご参考まで。

余談:攻殻機動隊SACラスト 第26話で、アオイと草薙が対話するのも図書館でしたね


2009/11/22

MyBookShelf


MyBookShelf
Originally uploaded by girardperregaux
どんなに記憶を辿っても、中学から高校まではほぼ読書の習慣は無かったと思う。むしろ、小学生の時の方が読書感想文を書く目的や、家庭配達教材についてくる読み物を親に強制的に読まされていた分、活字に触れていた。

一 転、高校3年時に部活を引退して受験勉強を始めた頃から図書館に通うようになる。それまで体を動かしていた世界とは真逆だけれども、ぼんやりとその空間に 知的興奮を覚えた。独特の静けさ。本の匂い。圧倒的な本の存在感。自分の知らない知識/地域/学問/文化への接触に快感を覚えると共に、現在の「自分の基 礎」となる素地が形成されて始めた、と今は感じる。

そして今2009年。
学部時代(1996年)からその時代時代において、興味を持った様々なジャンルの本を読んできた。その結果が上記写真。現在約400冊程度の書籍が手元にある。配置は自分なりの文脈棚として構成していて、半年〜1年に1度の配置換えは、興味対象の棚卸しとなっている。

今 まで、ブックリストや目に留まった文章、気になる著書などをネット上の様々なサービスに登録し活用してきたけれど、"リスク分散"といった積極的意図は全 くない。「意思のない行為」は当然の帰結として好ましい結果を生まない。情報は分散してしまい、散文はリポジトリ/アーカイブ的構成・役割を果たしていな かった。

上記の状況を解決する試みとして開始したのがこのブログ。「どうせなら」と、本に関する事だけでなく撮り貯めた写真(Flickr)とtwitterも連携したかったので試行錯誤予定。カテゴリは興味の遷移に伴って増えていくと思われます。

数年後、この場で「自分のリポジトリ/アーカイブ」もしくは「ネット上の自分」が構築できていたら良いな、とそんな事を考えています。