2009/11/23

LIBRARIES : Candida Hofer

Umberto Eco
Thames & Hudson Ltd
発売日:2005-10

カンディダ・ヘーファーによる世界各地の図書館写真集。
欧州の図書館はどこでもこうなのか? と思ってしまうような「知識の象徴としての建築」的空間が表現されている、見事な写真集。

1944年ドイツ生まれのカンディダ・ヘーファーは、デュッセルドルフ美術アカデミーで「写真界におけるタイポロジー活用の先駆者」として活動していたベッヒャー夫妻に師事。図書館の他にも、美術館・学校・劇場など文化施設を中心に、圧倒的空気感で表現しているアーティストでして、好きな写真家の一人。写真におけるタイポロジー(類型学)の定義は以下。
特定の分類項目を設定することによって、撮影された複数の個別的要素(メンバ)から一定のテーマとなる集合(クラス)を作り上げ、メンバ間の多様な形態上の比較対照によって浮上するクラスの同一性によって、文化論的な探求を行うこと
引用:カラー版 世界写真史 P129
上記定義に拠ってこの写真集を評価するならば、「グーテンベルグ登場より過去から連綿と続く知識象徴要素(メンバ)を、厳密に設計・設定された写真技巧での集合(クラス)化によって、場としての図書館の文脈をあぶり出す事に成功している写真集」と言える。

実際、この本を見てから訪れたプラハのストラホフ修道院図書館と国立図書館、ウィーンの国立図書館では、写真からも伝わってくる叡知・歴史・権威/権力・崇高さがそこにはありました。

プラハ ストラホフ修道院図書館(神学の間)
PRG_VIE097

ウィーン 国立図書館
PRG_VIE361

プラハ ストラホフ修道院図書館(2010年秋まで工事中の哲学の間の様子)
PRG_VIE095

日本にもこんな図書館が出来ると嬉しいですが、幸か不幸か「万人のための図書館」を指向しているため、ハコモノだけの真似では同じ空気を纏うまでにはならないでしょうね。大阪中之島図書館は好きですが、純日本建築様式の図書館があったりすると惹かれます。


なお、冒頭のリンクで飛んだ先は売切れになっていますが、私はこっち(Candida Hofer : Libraries)で2008/12に購入。amazonでの表紙画像は"本棚アップ版"になっていますが、届いたものは冒頭リンクの表紙画像"螺旋階段付き全景"でした。今時点で購入された場合も保証するものではないですが、ご参考まで。

余談:攻殻機動隊SACラスト 第26話で、アオイと草薙が対話するのも図書館でしたね


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