創業125年を超える企業における、人事BPRプロジェクトの実話。プロジェクトを時系列で追いながら、クライアント企業内メンバとコンサルタントがそれぞれの立場で考えた事、感じた事を書いている。しかも実名で。それだけにリアルさが伝わってきて一気に読めます。
成熟化した組織にはありがちな、”ガンジガラメ”で"変えられないルール"に悩ませられながらもBPRを実現していく過程は、イバラの道。しかもコンサルタントが参画している。このシチュエーションでありがちなパターンとしては、
- コンサルが(見栄えだけ良い立派な)計画立案を行い、
- アクションプランが納品され、
- 実行はクライアント内プロジェクトメンバのみで開始。
- 当初、メンバは改革に燃えて行動するも、
- 社内の壁に跳ね返され続けてモチベーション低下し、
- 結局何も変革されないままプロジェクトが解散する
しかし、この本に記述されているプロジェクトは違う。
コンサルタントはファシリテート役としてプロジェクト実行に深く関与し、クライアント側もその導きに始めは戸惑いを感じつつも、効果があがる事によって実行している事にコミットしていく。まさにサブタイトルにある通り「クライアントとコンサルタントの幸福な物語」が構築されていく。
プロジェクトマネジメント系のビジネス書では、PMBOK解説や方法論を中心にするものが多い中、実際のプロジェクトに沿ったイベントの中で利用される手法やツールが紹介されるため、具体的かつ現実的。
いくつか実際のプロジェクトでも利用してみたいものがあるが、ファンクショナリティマトリックス(FM)は、簡単だけど効果的なツールで、以下4つ(1〜4)のステップで、3つ(A〜C)の役割を果たす。
FMのステップ
1.機能要件の洗い出し
2.重要度の判定基準決め
3.各機能の点数付け
4.構築優先順位付け
FMの役割
A. 必要な情報システムの全体像を示す
B. プロジェクトとしての優先順位を見える化する
C. 多くの関係者の共通認識づくり(高い納得感の醸成)
問題解決と意思決定の思考プロセスを体系化した手法では、ケプナー・トリゴー法(KT法)が代表的だが、それを簡単にしたようなもの。Enterprise Platformにある程度詳しい説明がありますが、「FMはステークホルダー間の納得感を高めるためのコミュニケーションツール」という一文に共感。
結局、人がプロジェクトを遂行する以上、PMBOKでも言われている通りコミュニケーションが一番大切。ファシリテーションも円滑なコミュニケーションをデザインする一手法だと考えます。
そして、今の自分が言わなくてはいけない言葉。
やりたいのはBPR、ハブ&スポークの状態にする事。システムはその基盤にすぎない P143身にしみます。
以降、気になった文面引用
■BPRの定義
業務の環境や条件が変わったら、現時点で最適な仕事のやり方をゼロから考え直そう。そうしたら、コストやパフォーマンスが劇的に改善するかもしれない。 P53
■プレップ(Preparation)の4P
目的地(Purpose)非常に有意義な本であった。
-なぜその山に登るのか
-どこまで登るのか
参加者(People)
-誰が登る?
-誰の助けが必要?
どのように登る? (Process)
-登山道
-ペース配分
-登り方
-登る前の準備
服装、道具(Property)
-適切な服装は?
-必要な道具は?
P149
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