河出書房新社
発売日:2009-12-11
いろいろな本・雑誌で著者の評論を読んでおり、私の印象では「日本における写真批評=飯沢耕太郎」であったため、ほんとにそうなの? というコピーだけど、そう書いてあるので、事実なのでしょう。
あとがきにある通り、著者は四半世紀に渡って展覧会カタログや雑誌の特集で写真評論を行っていて、それらを纏めたもの+書下し2つのテクストで構成されている。
昔の人は、「魂を吸い取られるから」という理由で写真に撮られる事を嫌っていたという話を聞いたことある。確かに"真"実を"写"す、写真。だが一方で瞬間を切り撮るが故に、人間の感覚器官の(=認識可能な)レベルでは非現実的とも成り得る写真。
著者は、”(セルフ)ポートレイト”、”写真と死者”、”切断と反復”というキーワードから論評を進める。中でも冒頭にある荒木経惟(=P11〜。本業の一つ)、中盤のルイス・キャロル(P105)等の作品分析と、寄り添いの作法としてのスナップ写真のテクストは保存版。
スーザン・ソンタグの写真論も良いけど、取っ付き易さで考えたら本書の方が格段に上。
写真の可能性を感じる一冊でもあります。
1966年にNYで開催されたcontemporary photographers展を起源とした「スナップショット=コンポラ写真」の、外見上定義も(自分自身のメモとして)転載。
- 全て横位置であること
- 構図という美学に頼った作品は見つからないこと(標準レンズ or 単焦点レンズ)
- 写真的技巧を凝らしていないこと
- 日常のありふれた事象であること
- 説明的な写真でないこと
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